雷鳴
1週間ほど前だろうか空の機嫌が悪い日があった。かつてないほど雷が空に地上に轟いていた。まぁ実際のところはわからない。もしかしたら機嫌がとてもよろしくてテンションが際限なく上がっているかも知れないし、反対に悲しみに暮れているのかもしれない。
日本人は古くから空が人のような意思を持っていたり人の感情をその時の天候に見出したりする。特にこれは文章の中に顕著である。現代文の問題で苦労した人も多いのではなかろうか。雨が降っていると悲しみ、晴れていれば幸せを表していると説明されなんとなく理解出来たのはそれが日本の文化だからだろう。
現代の日本人も自然の様相に心情を見ることがあるが昔の人々はより多くのことを感じていたはずだ。身が千切れるような悲しみや空に浮かび上がるほどの喜びを。日本人がかつて確かに持っていた、けれど置いてきてしまったもの。
遠い空に轟く雷鳴が遠い過去を思わせる。