記憶と嗅覚

「雨の匂いは何の匂いなのか」雨の日に外を歩いているとふと思うことがある。単純に考えれば雨として降ってきている水滴の匂いなのだが、水の匂いと言われても身近な水にはさして匂いは無いような気がする。

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私は雨の日に外へ出掛けると故郷を朧げに感じる。これは雨が地面を濡らすことで土の匂いが強くなるからだと思う。私の故郷は土と水で出来ていたから雨の日はその記憶が呼び起こされるのだろう。今住んでいる場所から凄まじく遠いという訳ではない故郷にこんなにも郷愁を感じてしまうのは、あの場所の匂いとそこにいた記憶が深く結びついているからなのだろう。

 

部屋の中にいると雨の日はあまり好きではないが、ひとたび外に出れば故郷を感じることのできる雨の日は私にとって少しばかり特別な日になっている。次の雨は私に何を連れてきてくれるだろうか。