手を伸ばして
彼が次に手を伸ばすものはなんだろうか。
高校時代の彼を私はあまり覚えていない。仲が悪かったわけでもなくむしろ仲は良いほうだったと思う。ではなぜ記憶がないのか、それは卒業後の彼との付き合いの方がより強かったからもしくは彼を理解し始めたのがそのあたりだったからなのだろう。
彼はよく話す。私の3倍は喋るんじゃなかろうか。メインカラーは赤かもしれない。そんな彼だが思いの外自分の話題は多くない、むしろ高校時代彼の口から彼自身のことを聞いた覚えが無いくらいだ。自分のことばかりを話すのではなく『会話している人に合わせて話題を考えそれを膨らませる』彼はこの能力に長けているように思う。
彼の無限にも思える話題の種はどこからきているのか。話を聞いてみると彼は新しいコンテンツを次々に自分のものとしているらしい。始めたばかりはなかなか難しそうにしていた動画編集も今や当たり前のように使いこなしている。つい先日、友人の誕生日ムービーを作っていたほどだ。
おそらく彼はその過程で得たものを私たちに話してくれているのでろう。動画編集や動画配信で新たな繋がりも作っているようだ。自分が持っていないものに取り組むことでその世界の人々とつながり、またそこから新しいものを取り入れていく。言うのは簡単だが行うのは中々どうして度胸が必要だ。
これから先彼はその手に何を掴み、何を感じるのか。
不確かな未来に思いを馳せてみよう。